海辺にて
地元に帰った際、必ず思い出の地を散策します。
小学・中学の通学路や、地元の神社など回るところは決まっています。
少し女々しくて気持ちの悪い話になるかもしれませんが、高校生の時に仲の良かった女性がいました。
その子はクラスも同じで、帰りのバスも一緒だったので、一緒に帰ることが多かったです。
正直、「いい雰囲気」ではありました。
高校3年生の終わり際、お互い進学先もほぼ決まりかけお互い離れ離れになることがわかりました。
小心者な僕は、ようやくその時期に思いを伝えることができました。
もう進学先でお互い離れてしまうということで、その時の告白は残念な結果に終わりました。
それから彼女とは会えていません。
そして、大学に進学した僕は、地元に帰るたびにその子と一緒に帰った道を散策します。
女々しいことに、「またここで会えるかなぁ」なんて儚い期待を持っているのです。
しかし、今回の帰省では、初めてそのエリアの散策をしませんでした。
その理由は僕もよくわかっていません。
それとは逆方向に歩くこと1時間、海岸の方に行きました。
子供のころにはよく遊んだなじみのある海岸でしたが、ここ数年は足を運んでいませんでした。
海岸にあるコンクリート製の階段に腰掛け、煙草をふかしてボーっとして、これまでのことをいろいろ振り返っていました。
楽しいことよりも、後悔や挫折が多いと感じるので、自然と気持ちは後ろ向きに。
そんな時、海辺で遊んでいる子供たちがいました。
海辺で拾ったであろう木の棒をバット代わりにして野球をしていました。
海を背にしてボールを投げるピッチャー。海に向かって打ち返すバッタ―。笑いながら海に飛び込んでボールを取りにいく子。
偶然にもそれは、この海で遊んでいた僕と重なって見えました。
変わらないものに、少しだけ心が救われた一時でした。
これからも、辛いことばかりの人生でしょう。
それでも、なんとかやっていきます。
それでは。