宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」

先日の閉会式のクライマックスに宮沢賢治の「星巡りの歌」が流れました。

あの演出の出来不出来は除いて、宮沢賢治の作品は大好きです。

子供のころからよく読んでいて、大学の長期休みの間、一人岩手で聖地巡礼したほどです。

そんな宮沢作品の中で特に好きな物語が、彼の代表作の一つ「グスコーブドリの伝記」です。

 

この物語は「ありうべかりし(賢治の)自伝」とも言われます。

「ありうべかりし」とは「やったであろう」とか「したであろう」という意味。

宮沢賢治の農業での実体験も入り混じった、賢治も同じ立場ならそうするだろう揶揄された

まさに、宮沢賢治の人物像を表した作品ともいえます。

 

物語の舞台はイーハトーブ。このイーハトーブは賢治の故郷岩手をモデルとした理想郷の名前です。

この物語以外にも様々な宮沢賢治作品に登場します。

そのイーハトーブの森に住んでいた、木こりの息子であるブドリが本作の主人公です。

彼は、両親と妹のネリと共に、貧しくても幸せに暮らしていました。

しかし、冷害による飢饉で両親を失い、妹のネリも人さらいに連れていかれました。

ブドリは一人で、てぐす(養蚕)工場で働くことになるも火山噴火によって工場も閉鎖。

その後は、赤ひげという農家のもとで住み込みで働きます。

農業に対して無学な赤ひげを助けるため、ブドリは、亡き赤ひげ夫妻の息子の本で勉強し

農業に関する知識を身につけていきます。

しかし、6年後には赤ひげの農業経営も厳しくなってしまい、ブドリは金と衣服を赤ひげから貰い

暇を出されます。 流れ着いたイーハトーブの街で、彼は高名な学者であるクーボー大博士と出会い

ブドリはさらなる勉学の末、立派な火山局の技師になるのです。

生き別れたネリとも再会できました。

それもつかの間、再び起こると予想された冷害を食い止めるために

彼は、自らの命と引き換えに、火山の人口噴火を起こして飢饉を防ぎました。

 

このように、この物語には「農業での苦難」「妹との別れ」「学問の恩師との出会い」など

宮沢賢治の実体験が色濃く反映されています。

そして、何よりもラストシーンのブドリの自己犠牲精神。

これこそが宮沢賢治が強く思うことであり、願望でもあるのです。

宮沢賢治には、潔癖とも捉えられるくらいきれいな自己犠牲精神があるのです。

よだかの星や銀河鉄道の夜でもそれを思わせる一説がありますね。

彼のそういった自己犠牲精神は、戦後には「美化しすぎ」と批判されたこともありました。

でも、私はそんな彼の人生における姿勢にとても憧れます。

自分の命を賭して誰がために何ができるのか・・・。改めて思わされます。

是非読んでみてください。

宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」でした。

それでは。

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