アントン・チェーホフ「かわいい女」

今日は、ロシアを代表する作家、アントン・P・チェーホフから好きなお話を。

まずは、作者の話から・・・。

アントン・パブロビッチ・チェーホフは、19世紀末に活躍したロシアの劇作家・小説家です。

医師の傍ら、小説や劇の創作を行い、本格的に作家業に取り組んでからは、

結核に体を蝕まれながらも、数々の戯曲や小説を生み出しました。

当時、長編ものこそ主流だったロシア文学において

短編でありつつも練られたストーリーや人物描写はたちまち人気を博し

今でも、ロシア文学において最重要視される人物でもあります。

 

「かわいい女」は、1899年に発表された作品です。

物語の主人公は、人を愛し、また愛された「オーレンカ」という女性。

彼女は、好きになった人の好きなものすら、好きになる女性でした。

劇作家の妻になれば、演劇について語り

材木商と結婚すれば、材木の話ばかり

獣医の恋人となった時には家畜の伝染病に関心を持ちました。

そんな彼女をみんなは「かわいい女」と微笑ましく見ていましたが、

最初と2番目の夫とは、事故で死別してしまいます。

愛する人を失う度に彼女は、自分を見失い、自分の好きなものがわからなくなってしまうのです。

3番目にできた恋人である獣医とも別れそうになった時

彼女は、自分の意見すらも失ってしまいます。

そんな彼女が、最後に見つけた生きがいとは・・・。

 

この物語は、特に波乱万丈な活劇などではなく、ただ一人の女性の生き様を

淡々と簡潔に描いており、ストーリーもとても短いです。

ですが、自分を持たずに、ただ人を愛することしかできないオーレンカの生き様は

かわいらしくも、どこか悲しい印象を持たせるのです。

 

この物語の発表の後、ロシアでは2月革命がおこり、君主制だったロシア帝国は崩壊。

一時自由主義の時代を得て、社会主義国のソ連へと変化していきました。

周囲に合わせて生きなければいけない・・・

動乱の19世紀末のロシアを象徴するような女性かもしれませんね。

アントン・チェーホフの「かわいい女」でした。

それでは。

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